日本の英語教育は英語を話す能力が育たないという問題について

日本の英語教育とは

日本の公立学校では、小学校から英語が教科として導入されています。中学校・高校でも継続して授業が行われますが、伝統的に、日本の英語教育は文法や読解に重点が置かれてきました。そのため、外国人との会話などに必要な、リスニングやスピーキングのスキルが十分に育たない傾向があり、近年では英語でのスピーキング能力の重要性について着目されつつあります。

日本の英語教育では英語を話せるようにならない？

日本では英語を話せない人が諸外国と比べて多いとされ、しばしば問題視されています。

日本で英語が十分に話せない人が多い理由はいくつかあります。

①教育の焦点の違い

日本の公立学校では、英語教育がある程度行われますが、コミュニケーション能力を伸ばすよりも、文法や読解に焦点が当てられる傾向があります。これには歴史的はな背景があり、かつて日本は欧米の文化を吸収するために、外国の書籍などを読んで吸収する能力が特に重要視されたのだと考えられます。いずれにせよ、現代においてもリスニング・スピーキングよりは文法や読解に焦点を当てている傾向は根強いです。

特に、日本の高校や大学の入試や、日本の学校で利用される一般的な英語能力検定である英検などは、英語を話す能力にあまり焦点を当てておらず、英検でそこそこいい級を持っていても英語を話せない人なども多いです。

②言語環境の違い

日本は日本語が主要な言語であり、英語を日常的に使う機会が限られています。そのため、練習の機会が少ないというのが一因です。特に日本は世界有数の先進国であり、英語を必ずしも話せなくても、多くの人々は日本語だけ話せれば、日常生活やビジネス上問題が生じないというのも大きいでしょう。このため、英語を話せる必要性に迫られないということが日本人の英語力が伸びないことの一因です。

③文法構造の違い

日本語と英語はそもそも文法構造が大きく違います。そのため、日本語のネイティブが英語を習得しようとした場合、非英語圏のヨーロッパ人などと比べると、やはり時間がかかってしまう可能性はあり得ます。

日本人が英語を話せるようになるにはどうしたらいいのか

教育環境などの観点から日本人が英語を話せるようになるのが難しいということは上述しました。では、どうすれば日本人は英語を話せるようになるのでしょうか？それには、以下のような方法を通じて、話す機会を増やすことが重要であると考えられます。

①言語留学や短期留学

英語圏の国で生活することで、現地の文化や環境に身を置きながら英語を学ぶことができます。デメリットとしては、それなりにお金がかかってしまうことがありますが、もっとも確実に英会話能力を延ばせる方法ではあります。注意点としては、留学先に日本人の知り合いなどがいる場合、日本人同士で会話することが多くなってしまって、英語力の上達が遅れる可能性というのもあるので、留学などする場合には日本人同士ではなく、現地の外国人と積極的に会話する姿勢は重要でしょう。

②英会話スクールや教室に通う

専門の教師による指導を受けることで、基礎から応用まで英会話能力を伸ばすことができます。上記の留学と比べれば英会話の総時間は少なくなってしまう一方。英会話指導を専門に教えてきた教師からの指導を受けられるため、レベルに合わせて指導してくれることはメリットと思います。

③英語でのメディアを利用する

映画、ドラマなどで、リスニング能力や表現力を向上させることができるという人もいますが、正直難しいです。というのも、やはり英会話は自分で話すことで上達するものと思われるためです。上記で上げた、留学や英会話教室などを利用する補助として、英語の映画やドラマなどをリスニング力を上げるのに利用できるかもしれないといった程度でしょう。

④自信を持って話す

日本人の特徴として、少しの文法的間違いや発音の間違いもすることなく完璧にこだわる傾向があります。しかし、英語で話すうえでは、少々の文法や発音の間違いなどは、別にしても問題はありません。通じさえすればいいのです。繰り返し会話をすれば、発音などは徐々に良くなります。要は、間違いを恐れずに話すことで、英語での会話経験を積み重ねることが大切です。

一方、そもそも「英語を話せる必要はあるのか？」という指摘も

最近はAIによる言語翻訳が非常に発達しています。そのため、そもそも英語を自力で話せるようになる必要は本当にあるのかと指摘される方もいます。もちろん、AIは便利なツールですし、使うことには何の問題もないでしょう。しかし、人間が生きるうえで、自らの力で新しいことを習得する試みというのは、大きな意義を持つと私は思います。それに、留学やビジネス上英語でやり取りをする際に、毎回AI翻訳にかけていては面倒ですし大変でしょう。そういう意味でも、AIがあるから英語を話せる必要はないということはないのではないかと私は思います。